何度か書いたが、私はPCで、カシミール3DとQGISというアプリを使って
下見五座の地形図を処理して遊んでいる。最初に知ったのはカシミール3Dで世の中にこのような多機能な無料アプリがあるのは驚きだった。SYG(我が下見やまみちの会)の活動で扱う
データは全てカシミール3Dで処理していた。カシミール3Dでは有料の地図データを扱うこともできるようだが、
年金生活者の私は無料で利用できる国土地理院地図ばかりを使っていた。YAMAPな人々には専用アプリがあるらしいが、
地図データとしては国土地理院の地図をお使いのようだ。YAMAPのページを参照すると分かる。
国土地理院の地図は確かに素晴らしいが、1/25,000の縮尺が基本で、等高線は10メートル置きであり、下見五座の
起伏は大雑把にしか捉えられない。更に、国土地理院の地図には地名や電波塔などの各種記号が入っており、
下見五座に特化した場合には、こう言っては失礼であるが、これらが邪魔になることがある。特にガガラ山の
頂上付近に「鏡山」という文字(これは山名ではなく鏡山2丁目を表す地名である)が入っており、紛らわしい。
もちろん、国土地理院の地図は万人にとって役立つように作成されているので、文句を言う筋合いではない。
SYGのメンバーの中には八幡山調査を特に熱心に行う人物がおり、八幡山には主なピークが頂上を含めて4つあると
知らされた。どこでその情報を得たのか聞いてみると、東広島市が公開している詳細地図があるとのことであった。
早速に東広島市のHPで探してみると、確かに1/2,500の縮尺までの詳細地図がPDF形式で公開されており、よく見ると
下見五座の等高線が1m置きに書き込んであり、下見五座の地形が手に取るように分かった。カシミール3Dでこの
地図が使えたらどんなに素晴らしいことだろうかと思った。
手っ取り早い方法はPDF図からカスタム地図を作ることである。方法はPDF画像をPC画面に表示し、
そのスクリーンショットをとり、取得した画像をビットマップデータに変換してカシミール3Dで
位置合わせをすれば、カシミール3Dで使えるようになる。具体的にはGPSロガーで取得したデータをgpx形式
に変換すればカスタム地図上に表示できる。しかし、スクリーンショットを撮るということはカスタム地図の
サイズがモニター画面のサイズ以下になってしまい、広範囲なカスタム地図を作ることが出来ない。
この問題を何とか解決できないかと思って東広島市のHPをもう一度見てみると、PDF形式の詳細図以外に
DM形式というのがあった。DM形式というのは聞いたことがなかったので、調べてみると(もちろん
インターネットで)、これを読み込み、複数のDM形式データを接続し、結果をシェープファイル形式に
変換する、これまた無料のアプリが公開されていたのでそれを利用した。世の中、何から何まで、
時間はいくらでもあるが、懐のさみしい高齢者の味方があるものだと改めて感謝した。
これで1/2,500の詳細地図をシェープファイルの形にできた。しかし、カシミール3Dはシェープファイルを
読み込むことが出来ない。何とかならないかと行き着いたのがQGISというアプリである。最初は
使い方が全く分からなかったが、地図データの場所を示すURLが分かれば、簡単にQGISの画面上に地図が
出てくる。関心は一気にQGISに移った。国土地理院地図だけではなく、GoogleEarth(所謂、航空写真)、
Google Map、ボランティアベースのOpenStreetMapから今昔マップまでなんでもござれである。
カシミール3Dで有料の地図を使うことをしない私のようなものにとってはQGISは強い味方である。
シェープファイルをQGIS上にドラッグ・ドロップすればシェープファイルの内容が
QGIS画面上に現れる。
では、私はもうカシミール3Dを使っていないかといえばそうではない。カシミール3Dにはできても
QGISではできない(と思っていた)ことがある。それは高さデータを自由に扱う機能である。
国土地理院は標高データも公開している。このデータでは地上に碁盤の目を仮定し、その碁盤の目の
交点の位置の標高をデータとして取得し、公開している。私が初めてカシミール3Dを使ったときは碁盤の目の
サイズは10メートルだったが、今や5メートルの詳細なデータが入手可能である。カシミール3Dは
標高データを読み込むことができる(もちろん、いくつかの手順を踏まなければならない)ので
例えば山頂の位置を指定するとその地点から見える遠くの山々の形状と、登録してあればその山名も
表示できる(この機能をカシバードと名付けている)。前の原稿で私のスマホには磁気センサーが
無いので、山名を表示するスマホアプリが使えないと書いたが、心配御無用、カシミール3D
を使えばそれが可能である。
一昨日まではQGISで3D風の表示は無理だろうと思っていた。しかし、QGISは日本だけではなく世界的に
広く使われているので、誰か3D風表示をされているだろうと急に気になりだし調べてみた。
QGISというアプリでは必要な拡張機能はプラグインを入れるという方式をとっている。では、国土地理院の
公開している標高データを扱うプラグインは無いかと探してみたら、QuickDEM4JPというのが見つかった
(そのことが書いてある記事をインターネットで見つけた)。プラグイン名はQuickDEM4JPである。
4JP、そう日本人に依るものである。DEMというのは標高データのことである。Quickかどうか分からないが、
記事に従って国土地理院のDEMをgeotiff形式に変換し、QGISに読み込んでみた。墨絵を流したようなのが
現れた。これを弄って何となく山の稜線のようなのが表示できたが、とても使う気にはなれなかった。
geotiffは広く使われているらしいので更に加工すれば見栄えのする3D風表示ができるかも知れないが、
良い記事が見つからないので、諦めた。
昨日に陣が平・八幡山をやってきて、気分がすっきりしたのでQGISで3D風表示を行うための別の
プラグインを探した。夜になって、ElevationTile4JPとQgis2threejsという2つのプラグインを使う
アプローチについての記事を見つけた。インターネットは頑張って探せば何でも出てくる打出の小槌
である。断っておくが、ChatGPT君に相談したわけではなく、自分で暇に任せて探し出した。昨夜に
何とか3D風表示ができたので、今日になり更に方法を精査して左の図が得られたので記事にしてみた。
概略を書くと、先ず、QGIS上になにか地図を表示しておく。その状態でElevationTile4JPを起動する。
このプラグインはQuickDEM4JPと同じく、geotiff形式ファイルを生成するためのプラグインである。但し、
ElevationTile4JPではQGISに表示している領域に合わせてDEMデータを自動で取得してくれる。
ElevationTile4JPの処理が終わると自動的にgeotiffファイルに対応したシートが追加されるので、
Qgis2threejsを起動し、追加されたシートを指定すれば3D風表示が得られる。上の例は私が普段使っている
地図からPOIと1/2,500地図の等高線を除いたものについて3D風表示を行ってみた。水色の線はモデルコース
のルートである。視点は自由に動かすことができるので、二神山の西側上空から東方向を眺めてみた。
色付けはGoogleEarthのものである。大学キャンパスもよく見える。大きな池は三永水源地である。
なお、下見五座は高さがあまりないので、見栄えを良くするため、高さ方向は3倍に拡大して表示している。
表示上は下見には1,000m級の山が5座ある!
これを見て、下見五座は険しいので行くのはよそうと思わないでいただきたい。下見五座は丘と考えて良い。
図をみて五座の名前が直ぐに出てきたら貴方はもう下見五座のベテランである。
3D風表示は見栄えは良いが、これを使ってCustom Mapsのためのカスタム地図を作ろうとは思わない。 実用的なのは等高線が密な2D表示の地図であることがよく分かった。QGISでもカシミール3Dの 機能に近いことができるのを知ったのは収穫だった。
タイトルを見て直ちに先を読むのを止した方がおられるかも知れない。我々の住む世界は残念ながら
おとぎの国ではない、困難なことの連続である。山歩きに於いてもこの状況は同じである。ここまで読まれた
方はどうぞ深呼吸をして読み進めてほしい。
以前の記事で迷惑物件のことを書いた。笹草の種子が
ズボンに大量に付着したときは山歩きが嫌になり、秋にはもう山歩きは止めようと思うこともあったが、
次の日にはケロリと忘れ、その次の日にはまた下見里山散歩に出かけるという具合であった。迷惑は
所詮、迷惑にしか過ぎない。ところが身体に危害を及ぼすとなると状況は異なる。蛇と聞いた途端に
顔をしかめる人もいる。3年位前のことだったか、朝の散歩で陣が平山を過ぎ、八陣通りに出たところで、
八陣通りを北から南へ散歩する人と出くわしたことがある。ヤブから蛇ということはそれほど珍しく
無いだろうが、その人にとってヤブから人間となると恐怖だったことだろう。脅かすだけではいけないので
私はゆっくりと近づき、挨拶をした。その日は土曜日で、相手は前日に宴会か何かあったのか、アルコールの
匂いプンプンであった。酔を覚ますために散歩するとは大変に結構なこと、それだけで私は良い印象を
もった。そこで、下見里山の宣伝である。次には八陣通りだけでなく、陣が平山か八幡山に入られては
と勧めたら、その人は蛇がいるかどうか聞かれたので、私は自信を持って、確かに蛇は居ると答えた。
するとその方は後は聞かずに行ってしまった。
私は大事なことについては白い嘘でもつかない。ここに明言する、下見五座にはマムシも居る。
この写真(212)をご覧になったことがおありだろうか?
実はこの写真には立派なマムシの一部が写っている。もし貴方がヘビに対して特別な恐怖心を抱いて
おられないならゆっくり探してほしい。そして、どうしても見つけられず、夜も眠れないように
なったらSYGの連絡先に照会メールをお寄越し願いたい。ヒント程度は連絡申し上げる。この
写真の撮影場所は二神山である。その他、鏡山でも見かけたことがある。マムシはこのあたりでは
名物であり、大学キャンパス内にもマムシに注意の看板がある。マムシを怖がっていたら
下見里山に近づくことが出来ない。一方で私がこの地域に過ごすようになってマムシに噛まれて
死んだ人の話は聞いたことはない。
本題へと話題を転じる。それは2025年10月下旬のことであった。SYGの活動としてその日は陣が平山を作業を
しながら3名で会館通り側から登っていた。被雷樹木(172)付近
に差し掛かったとき、前から2番目を歩いていた会員と最後尾の私とが相次いでスズメバチに刺された。
チクリと感じたが、二人共、症状はそれほど酷くはなかったので、作業を続け、それぞれ帰宅した。
家に戻ってみると、刺された左足の太もも付近が大きく腫れ上がっており、風呂から出て心配になって
インターネットで調べてみた。私はアシナガバチには子供の時、何度か刺されたことはあるが、スズメバチ
にやられたのは初めてのことであった。インターネットで調べた限りでは直ぐに医者に行く必要は
なく、経過観察で十分だと分かった。また、一般に言われている一度目は大丈夫でも、刺されると抗体が
でき、二度目以降は大変なことになるという事実は無いと判断できた。
腫れは3日ほどで完全に取れ、これといった後遺症もなく、普通に過ごしている。もう一名も話に依ると、
私と似たりよったりであることが分かった。私はほぼ一週間毎に同じルートを散歩している。スズメバチに
刺された次の週には念のため、被雷樹木を迂回して陣が平山を登った。しかし、その次の週には被雷樹木の
ところを通り、スズメバチの巣の位置を確認した。驚いたことにスズメバチは被雷樹木そのものに巣を作って
いるようだ。巣自体は見つけられなかったが、被雷樹木に複数の蜂がとまっていた。恐らく被雷によって
生じた木の虚を巣として使っているのだろう。何という連中だろう!木が被雷によって苦しんでいるのに
傷口に塩を塗り込むようなことをして、君たちには血は通っていないのか!昆虫だから当たり前かも知れないが、
私は被雷樹木に巣を構えたスズメバチへの怒りが2倍になった。
スズメバチに刺された日も作業は予定通り行ったので、陣が平山の八陣通り側でも
スズメバチの巣(217)を見つけた。このように
陣が平山には見つけただけでもスズメバチの巣が2つある。ガガラ山でもスズメバチを見かけたことが
あるし、頂上付近にはスズメバチ捕獲装置があり、
それを設置した人(206)に出会ったこともある。鏡山頂上付近には「蜂に注意」の
掲示があるがこれはスズメバチのことであろう。以上のようにスズメバチは下見里山全体に
生息していると言って良い。
私は一週間で下見里山5座を巡回しており、機械的に山道を歩いてはいるが、それでも楽しみがある。
現在の最大の楽しみは二神山に沿う温井川で白い鯉(145)に
会うことである。以前は錦鯉も居たが最近はこの鯉と目立たない黒い鯉が3匹程度しか見かけない。
白い鯉を散歩の度に見かけるという訳ではなく、1ヶ月程度見ないこともあった。また、見かけた
ときには私の方に近寄ってくることもある。もはやこの白い鯉は私のペット同然である。白い鯉を
散歩で見かけた日は一日中楽しく、反対に、見かけなかった日には心がざわつく。これを愛と
言わずして何と言おう。
スズメバチにさされてからは、二神山散歩とは対照的に、陣が平山では蜂に会わないことを望んだ。
と言って、蜂の巣を避けて歩くわけではなく、怖いもの見たさということもあり、巣の観察は
毎回行っていた。先週は巣に3匹の蜂がいたが、今日見ると写真のように一匹だけだった。
11月に入ってからは巣に接近しても蜂が攻撃を仕掛けることはなく、写真を見てもお分かりの
ようにスマホをかなり近づけて撮影することができる。蜂を良く見ると真上を向いてじっとしており、
私もしばらく見つめていると、蜂が木に向かって懺悔しているように思えてきた。「被雷してお困り
のところ、当方の都合で巣をかけ、大変なご迷惑をおかけしたこと心よりお詫び申し上げます。」
思い直してみると、スズメバチに会ったのは刺された日が初めてではなかった。気温が高い時期には
時折スズメバチが一匹飛来し、私の様子を観察して飛び去った経験が何度もある。良く言われているように
スズメバチはいきなり攻撃してくることはない。刺された日は3名の会員が作業をしながら被雷樹木
に向かって歩いていたので、蜂の側は巣を守るために攻撃してきたのだろう。ここまで考えると
蜂への憎しみが愛へと昇華した。そういえば陣が平山は八幡山と合わせ
愛が形成されるのだった。二神山では鯉に、陣が平山ではこのスズメバチに
会うことが今後の楽しみだ。しかし、スズメバチの方は12月になると寒さに耐えられなく
なるだろう。それまで温かく見守るつもりだ。
今日の陣が平山・八幡山散歩で感じたことは以上である。これをお読みになって貴方はスズメバチに
対する(もし持っておられたなら)恐怖心が薄らいだであろうか?スズメバチもマムシもやはり
怖いとお考えであれば、12月以降に下見里山を歩かれることをお勧めする。スズメバチもマムシも
居ない上に落葉で特に鏡山の頂上からは全方向に遠景を楽しむことができる。そうこうしている内に
貴方も一年を通じて山歩きを楽しむようになる。
自然との対話、これ以上の楽しみは無い。